
ビジネスをしていると、成果が出る時期と、まったく前に進まない時期がありますよね。
同じように働いているのに、なぜか手応えが違う。
自分の能力や努力だけでは説明できない「何か」が働いているように感じる瞬間があります。
私は、その原因の1つは、「流れ」だと思っています。
お金、人、ご縁。
こうしたものは、静止しているように見えて、実際にはつねに流れ、動き続けています。
これは東洋思想でいう「諸行無常」に近い考え方で、どんなものも留まることはありません。
諸行無常(しょぎょうむじょう)とは?
学生時代、「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり」と習ったのを覚えている方もいらっしゃると思いますが、それです。
だからこそ、ビジネスで大切なのは、
どれだけ頑張るかではなく、どの流れに身を置いているか
という視点になります。
流れに乗れば、力まずとも進んでいく。
逆に、流れに逆らえば、どれだけ努力しても前進できず、ただ疲れるだけ。
今日は、この「流れに乗る働き方」についてお話したいと思います。
この記事の要約:仕事・ビジネスが「流れに乗る」ポイント
| 世の中には「流れ」がある | お金・人・ご縁は静止せずに動き続けている(諸行無常)。 努力量だけで成果は決まらない。 |
|---|---|
| 流れに逆らうほど疲れる | 川を逆走するような働き方は、成果が出ないうえに消耗が大きい。 ウミガメのように“流れ”を利用する視点が大切。 |
| 順水推舟(じゅんすいすいしゅう) | 流れに乗ることで自然に前へ進む。 無理に頑張るより、流れと協調するとスムーズに進む。ムダな力みが消える。 |
| 無為自然(無為自然) | “何もしない”ではなく、「自分にとって不自然な行動を手放す」ことが本質。 歯を食いしばる努力は逆流になる。 |
| あなたの自然を見つけることがスタート | 時間を忘れる・苦労せず続く・褒められる分野が鍵。 そこが“あなたの流れの中心”になる。 |
これらについて、以下で分かりやすくお話します。
世の中には「流れ」がある
お金も、人も、ご縁も、すべては“流動”しています。
私たちは、ついつい「頑張ればなんとかなる」と考えてしまいますが、流れがなかったり、逆らってしまえば、どれだけ動いても成果は出ません。
川を思い浮かべてみると、分かりやすいかもしれません。
流れに乗れば、何もしなくても進んでいきます。
しかし、流れと逆方向に泳ごうとすると、一気に負荷が高くなり、疲れは溜まる一方です。
これは、仕事の世界でもまったく同じです。
人間は、ウミガメよりも遅い?

たとえば、人間が海で泳いだ時の速度は、時速4.8kmほどと言われています。
一方、ウミガメはゆっくり泳いでいるように見えて、瞬間的には時速10kmに達することもあるそうです。
ウミガメは必死に手足を動かしているわけではありません。
流れに身を委ねているだけで、自然と速度が出る。
まさにこれが、流れの力です。
中国の古典には、こうした状態を表す「順水推舟(じゅんすいすいしゅう)」という言葉があります。
順水推舟(じゅんすいすいしゅう)とは?
歯を食いしばるような努力ではなく、流れと協調した働き方。
これが、成果につながる“軽さ”を生んでいきます。
仕事で流れに乗る鍵は「無為自然」

では、どうすれば流れに乗れるのか。
そのヒントになるのが、東洋哲学で語られる「無為自然(むいしぜん)」という考え方です。
無為自然(むいしぜん)とは?
道教の老子(ろうし)が提唱した思想の1つ。
無為と聞くと、“何もしない” という意味に思われがちです。
しかし、本来の無為自然は、
「不自然なことをしない」
という意味です。
歯を食いしばり、力み、無理に自分を変えようとする。
世の中の流れに逆らおうとする。
これは、すべて“不自然な行動”にあたります。
逆に、
- 自然にできること
- 続けていても疲れないこと
- なぜか成果につながりやすいこと
これらは、あなたにとっての“自然な流れ”です。
不自然なことを減らし、自然なことに時間を使う。
これが無為自然であり、流れに乗るためのもっとも実践的な方法です。
儒教の「天命=天与の性」
中国の儒教には、流れと無為自然を理解する上でとても大事な「天与の性(てんよのせい)」という言葉があります。
天与の性(てんよのせい)とは?
努力で無理に身につけた能力とは違い、
“初めから備わっている自然な性質” のことです。
簡単に言えば、「才能」のようなものです。
たとえば、
- 気づけばやっている
- 努力している感覚がない
- 周りから自然と褒められる
- 続けても疲れない
こうした性質は、まさに天与の性そのもの。
天与の性を使うと、流れは一気に太くなり、自然と成果が出る。
逆に、天与の性から離れると、努力の割に前へ進めず、疲労ばかりが蓄積する。
つまり、
- 流れに乗るとは、天与の性を活かすこと
- 無為自然とは、天与の性に沿って働くこと
と言えます。
私自身の事例:不自然をやめ、自然に沿った働き方へ

ここまで「無為自然」「天与の性」という考え方をお伝えしてきました。
しかし、抽象論だけではなかなか腑に落ちない部分もあるかもしれません。
そこで、私自身の働き方を例にお話してみたいと思います。
私にとっての不自然=営業
私は、営業が大の苦手です。
どれだけ準備しても、対面で売り込む場に立つと、どうしても力んでしまう。
- 「お客様に嫌われてしまうのではないか」
- 「売り込んでいると思われたらどうしよう」
そんな不安が頭をよぎり、心も体も硬くなってしまうのです。
なんなら、営業の1週間くらい前から気持ちがズーンと重くなります。
営業の本を読み、セールストークを勉強し、ロールプレイも何度もしました。
しかし、成果はほとんど出ませんでした。
今思えば、完全に、川の流れに逆らって泳いでいたのだと思います。
同じように、Youtubeに出す動画編集や、細かな誤字脱字のチェックも、私にとっては”不自然”な仕事です。
集中力が続かず、時間ばかりかかってしまう。
そして、どれだけ時間をかけても、プロには到底及びません。
だからこそ、私はこうした“不自然な仕事”をやめました。
- 動画編集は、スタッフのTさんに。
- 細かなチェックは、スタッフのYさんに。
それぞれの仕事が得意なスタッフさんに助けてもらっています。
任せることで、全体の仕事の質が上がり、流れが止まらなくなりました。
私にとっての無為自然=情報発信
反対に、私にとって自然で、力を入れたい仕事があります。
それが、
- 情報発信
- コピーライティング
- 読書(インプット)
この3つです。
ブログやYouTube、Podcastでの情報発信は、私にとっては呼吸のようなものです。
言葉がアレかもしれませんが、「遊び」のような感覚です。
誰に言われたわけでもなく、自然とやってしまう。
取り組んでいると時間を忘れ、無意識に「あ、これ今度Youtubeで話そう」のように思いつきます。
コピーライティングも同じです。
文章で価値を伝えることは、昔から得意でした。
だから営業が苦手でも、文章で価値を伝えていくことで自然とお客様からの信頼が生まれ、
「無理に売る必要のない仕組み」を作ることができました。
読書も、私にとっては大切な時間です。
単なるインプットではなく、思考を整え、気持ちを落ち着かせ、
新しい視点を得るために欠かせないもの。
そして読書で得た気づきを、また情報発信で伝えるサイクルが生まれています。
これら3つは、まさに私にとっての “天与の性”。
自然で、枯れず、続けられる領域です。
この3つに時間を集中させてから、ビジネスの流れが一気に変わりました。
私がやっていることは、とてもシンプルです。
不自然なことをやめ、自然なことに時間を使うようにした。
ただ、それだけなのです。
「好きこそものの上手なれ」と言いますが、まさにその通りなのですね。
不自然を手放すと、流れは勝手に太くなる
不思議なことに、不自然なことを手放すと、流れは勝手に太くなっていきます。
たとえば、私の場合は「営業を手放した」ことで、
むしろお客様からの問合せの数が増えました。
これが信頼を生み出し、「この人に相談したい」という方が自然と集まってくれるからです。
あなたの「自然」はどこにある?

あなたにとって、不自然なことは何でしょうか?
- やろうとすると肩に力が入る
- 始める前から疲れてしまう
- 終わった後にエネルギーを消耗している
- 前日から気が重くなる
こうしたものは、流れの逆方向です。
反対に、
- 時間を忘れて没頭できる
- 気づけばやってしまう
- 人から自然と褒められる
- 遠足の前日の小学生のように、ワクワクして眠れない
こうしたものは、あなたの自然な領域、つまり “天与の性” にあたります。
あなたが自然でいられる場所には、必ず流れがあります。
その流れは、あなたが“力まずに働ける方向”を教えてくれます。
結び
流れに乗るというのは、努力をしない、という意味ではありません。
自然な努力に集中する、ということです。
穏やかに働き、成果も出すためには、
自分の自然な性(才能)を大切にし、不自然をそぎ落としていくことが欠かせません。
無理に逆方向へ泳いで疲れ果てるのではなく、
自分の流れがある場所に立ち、無為自然に、軽やかに進んでいく。
あなたは今、流れに乗っていますか?
それとも、逆流の中を泳いでいませんか?
まずは一つだけ、不自然なことをやめてみてください。
それだけで、あなたの流れは静かに変わり始めます。
あなたが、あなたの流れを見つけて、力まず進んでいけることを、心から願っています。







